凱旋を読んで

 

この本のことばを

内側からみいりたい

ひとつひとつのことばを

わたしのからだの手や足や鼻や耳

そして眼のようにかんじたい

そうして言葉がいらなくなってゆくように

わたしにも余分なものはいらなくなってしまう

この世のことも考えず

死んでいったもののことも考えない

もうだれも来てくれなくていい

誰かを道連れにするどんな権利もわたしにはなかった

言葉からこぼれ落ちたもの

言葉が触れることもできなかったもの

言葉が殺したもの

それらをふりかえることもせずに

私を生かす、ひとつの顔

 

 

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くりかえし

 

花を見ようという

あなたのこころと

わたしのこころは違う

それでもいっしょに見て

いっしょに笑って

ただみとれていれば良いんだと思う

探さなくていい信じさえすれば

ほんとうに

けれどもきょうは

わたしもあんまりひどいから

馬酔木の花もとらない

古い傷口を満たすのは

そこから滲み出る新しい血

内側から溢れ出るものに溺れ死ぬ

本心から最も遠くにあるこころ

 

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冬が明るくなりきると

かえって何も思わなくなった

悲しいというこころにさえこだわらず

あたりのものへ

なだらかに自分のきもちをわたすことができる

こんなあかるい冬の日を

はんぶんゆっくりあるくことは

いったいなんという恩恵だろう

やっとの思いで

すこしだけれど

こんなふうにものが分かったと思えたこと

理屈とか意味だとかなくても

ここにたしかにはっきりと存在しているものがある

しあわせって

要するにこんなものに過ぎない

きみよ、ひとつの手をあたえてください

 

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