坂道

 

坂道の途中でいつも同じひとに会う

あいさつをしたり、しなかったり

上りも下りも会うのだけれど

上りと下りではまるでちがう

それでも同じ人には違いがない

上っている途中に会うと男であるのに

下っている途中には女だったり

老人だったり子供だったり

犬だったり猫だったり

幽霊だったり

二度と同じ姿をしていないのに

それは同じひとであった

だとしたらあの人にとって私はなんだろう

たぶんあの人から見たわたしも

草であったり

石であったりするのだろうし

虫や空き缶や流木にちがいない

とすれば

そこに何が成立し得るのだろう

と今日も坂道を上りながら考えるのは

すこししあわせな気分になる