お母さんへ

 

昔の「相棒」で、 右京さんが「これから自殺をしようとする人がうなぎを食べるでしょうか」って言っていたのを覚えてる。私なら、これから死のうってときは、生きていくつもりの時には食べるのを悩むような高級なものを食べたいよ。それから、お風呂で死ぬ前に食べたい物ベスト3を真剣に考えていたら、そんなこと誰にも聞かれてないと気付いて虚しくなった。

生きてたらいろんなことに絶望してしまう。見覚えのある絶望を二度目なら愛せるような気もするし、やっぱり愛せない気もする。お花を摘んでスープを飲んで生きていけるわけじゃないし、簡単に人を好いたり嫌ったりして生きていけないし。最近お母さんが心配してずっと連絡をくれるから「ダメそうだったら友だちのところに泊まるから大丈夫」と言ったけど、友だちはいない。涙が出るときは電気代のこと考えずに暖房をつけた方が良い。わたしが一人暮らしを始めて3年でわかったのはそれだけ。一人で生きていけないくせに、誰とも生きていけないからぬいぐるみを抱きしめる。

絵になる一瞬が大事なんだと思う。そのために生きている。だから写真一枚だけ。それで空想してくれたらいい。私の一生を。

100パーセント楽しくなることも、長く続く幸せを築くこともできない。だから、ほんの一瞬でも生き延びててよかったかもしれないって思える瞬間があればもうそれでいい。